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紫苑を吹く風・鑑賞の記録

 2023年5月27日(土)
 埼玉県鴻巣市にあるカフェ・ギャラリー「紫苑」で開催されました邦楽の演奏会、「紫苑を吹く風~箏、三味線、尺八による~」を鑑賞してきました。

 2023.05.27.紫苑を吹く風・チラシ

 「紫苑」さんとは私と姉妹弟子である広沢里枝子さんの瞽女唄コンサートでお世話になったご縁があり、古民家で純邦楽の世界を味わえるのを楽しみに行きました。

 佐藤紀久子さん、武田明美さん、田野村聡さんによる演奏会は、ジャンルで言えば地歌筝曲、三曲という、邦楽の中では比較的演奏人口の多いもの。(だと思う。)

 元は当道座という男性盲人の職業組織に属していた音楽家たちによって発展してきた経緯があるので、盲目の女性旅芸人の瞽女唄とも共通点がありそうなものですが、その世界観はまるで別物で、瞽女唄が土臭くて語りの要素が強いのに対し、こちら香り豊かな音楽という感じ。

 演目は、大正期から昭和にかけて活躍された「春の海」でも有名な作曲家、宮城道雄さんの曲を中心に、江戸時代の古典曲「夕顔」、古典をベースに現代の要素をふんだんに盛り込んで作られた「カレーライス」「二つの田園風景」といった新しい時代の曲も演奏され、バラエティ豊か邦楽の世界が展開されました。

 物語のシーンから、山水画のような風景、カレーライスなど、曲によって様々な景色が想像出来て、虹色の音が流れるような時間でした。

 2023.05.27.紫苑舞台

 途中休憩の時間には、紫苑のオーナーである小林さんが作ってくれたカレーライスを頂きながら、他のお客様とちょっぴり交流。
 出演している先生方の生徒さんが多かったようで、演奏会も企画して楽しく活動しているのだと教えてくれました。

 こんな風に、瞽女唄も含めて邦楽を楽しむ人が増えて欲しいな・・・

 公演後はハッピーバースデイ‼
 今日はオーナー小林さんの誕生日でした♬
 おめでとうございます♡

 鴻巣までの小旅行、お天気にも恵まれて良い一日でした。

 2023.05.27.紫苑






 

とつかストリートライブ2023.05.20.終了のご報告

 2023年5月20日(土)
 横浜市戸塚区にある「戸塚駅西口歩道橋」で開催されました「とつかストリートライブ」。
 14:00~20分間の出演時間を無事に全うしたことをご報告いたします。

 2023.05.20とつかストリートライブ・チラシ表
 2023.05.20とつかストリートライブ・チラシ裏

 当日はどんより曇り空。
 家を出た時には小雨がサラサラ降っていて、雨天の場合は開催場所を変更して行うと言ってはいても、やっぱり晴れてほしくて、どうなっているのかと心配しながら戸塚駅に降り立ちました。

 実は初めての戸塚駅。
 とりあえず開催場所を確認しようと西口に出てみたら、改札口を出てすぐ、ショッピング街に向かう途中のデッキでやっていました。
 正にイベントを行うために作ったと思われる広場には、人が座れるように段差になっているスペースもあり、「とつかストリートライブ実行委員会」さんが準備して下さったマイクやスピーカーの機材もしっかり整っていて、電車や車、雑踏の音が止まない場所ではあるものの、出演者にとって思った以上に快適な環境でした。

 出演時間の14時近くになると、厚い雲の切れ間から日差しが差し込み、何だかごぜ唄の神様に見守られているような感覚で、気持ちよく演奏を始めることが出来ました。

 通り道で足を止めて聴いてくれる人が多かったとは言えませんが、楽しく演奏出来ました。
 また、機会があったら参加したいと思っています。

 演奏の様子をYouTubuチャンネル「瞽女唄屋妙音」にアップしていますので、興味のある方は見て頂けたら幸いです。

 YouTubeチャンネル「瞽女唄屋妙音」
   ⇓⇓⇓
 https://youtu.be/v-cTfsMhs3g

 2023.05.20とつかストリートライブ

 【演奏演目】
 1.こうといな(高田瞽女:杉本キクイ、シズ、難波コトミ氏伝承による)
 2.出雲節・梅の口説き(長岡瞽女:小林ハル氏伝承による)
 3.猫好き口説き(詞・曲:小関敦子)
 4.言えなくて妄想(詞・曲:小関敦子)


高田・天林寺の妙音講イベント・2023.05.13

 2023年5月13日(土)、新潟県上越市高田にある天林寺というお寺で開催されました「妙音講」のイベントを鑑賞しました。

 2023.05.13.妙音講・チラシ

 高田は越後瞽女(ごぜ)が多く暮らしていたしていた土地で、ここを拠点に活動をしていた瞽女さんたちを「高田瞽女」と言います。

 高田よりも大きな瞽女組織を形成していたのが長岡で、私の師匠の師匠である、最後の瞽女・小林ハルさんは「長岡瞽女」だったのですが、長岡にあったという瞽女屋敷は残念ながら空襲で焼失してしまい、今はその面影を見ることもできません。

 一方、高田には最後の高田瞽女、杉本キクイさん、杉本シズさん、難波コトミさんの3人が、今も残るこの地域特有の雁木づくりの町並みの一角で、昭和の末の頃まで暮らしていて、画家の斎藤真一さんがその生活の記録を書籍や絵画に多く残した経緯もあり、高田瞽女の文化の保存、発信を町おこしの一つとして積極的に行っています。

 「妙音講」というのは、年に一回、瞽女が一堂に会するお祭りのようなもので、瞽女の成り立ちや掟が書かれた「瞽女式目」を読誦し、瞽女の守り本尊である弁財天にごぜ唄を奉納し、1年の旅の報告や、これからの旅のスケジュールを確認したりしたのだそうです。

 この度は、この高田の妙音講が実際に行われた「天林寺」にて、過去に生きた瞽女さんたちをしのぶ、「妙音講」のイベントがあったので鑑賞してきました。


 前日の5月12日に新潟市に住む萱森先生にお稽古をお願いしていたので、お稽古終了後、その足で高田まで移動。
 前泊をしました。

 13日当日、イベントは11時からだったので、少し早めにホテルを出て高田城址公園を散策。
 「善念寺」に立ち寄り、高田瞽女最後の親方であった杉本キクイさんらのお墓にお参りをさせて頂きました。

 2023.05.13.高田城
 高田城三重櫓

 2023.05.13.高田城堀
 高田城のお堀

 2023.05.13.杉本家墓石
 善念寺「杉本家のお墓」

 そして、目的の「天林寺」へ。
 住職さんによる「瞽女式目」の読誦、葛の葉会・横川恵子さんによるごぜ唄の演奏が行われ、あこがれの弁天様にもお会いしました。

 2023.05.13.天林寺
 天林寺

 2023.05.13.天林寺住職さん
 妙音講の様子

 2023.05.13.天林寺弁財天
 ご本尊の弁財天
 
 2023.05.13.天林寺の札
 寄付札に「高田組瞽女一同」の文字

 1時間ほどでイベントは終了し、昼食後、14時からは「瞽女ミュージアム高田」で開催された、横川さんの瞽女唄公演を再び鑑賞させて頂きました。

 横川さんは「葛の葉会」といって、萱森先生よりも先に晴眼者で小林ハルさんの弟子となった竹下玲子さんを講師にして、平成7年に始まった瞽女唄教室のメンバーが、平成11年に改めて立ち上げたグループの方です。

 「葛の葉会」の詳細はこちら
   ⇓⇓⇓
 http://goze.folklores.net/index.html

 なので、瞽女唄の大先輩です!!

 萱森先生の弟子グループ、私たちの「さずきもん」が荒々しく土臭い唄い回しをするのに対し、「葛の葉会」はしっとり優しい雰囲気の唄い方で、同じごぜ唄でも師匠や所属する組によって「こんなにも違うものか」というくらいの違いです。

 機会があれば、聴き比べてみるのも面白いかもしれません。


 今回演奏された演目は、

 1.門付け唄「岩室」
 2.八百屋お七1段目
 3.出雲節(梅の口説き)
 4.鴨緑江節


 でした。

 「岩室」以外は私自身もレパートリーにしている演目ですが、人によって唄の間合いや三味線の手、使う文句に違いがあるので楽しく聴かせてもらいました。

 2023.05.13.高田瞽女ミュージアム
 瞽女ミュージアム高田

 2023.05.13.葛の葉会・横川さん
 葛の葉会・横川恵子さん

 「瞽女ミュージアム高田」瞽女グッズと、老舗の飴屋さん「髙橋あめや」で夏目漱石作品「坊ちゃん」に登場するという「笹飴」を購入し、今回の旅は終了です。

 2023.05.13.飴屋さん
 老舗「髙橋あめや」

 2023.05.13.お土産
 お土産

 今回は、天林寺・住職様、高田瞽女の文化を保存・発信する会の事務局長・小川善司さん、瞽女ミュージアム高田のスタッフの皆様、葛の葉会・横川恵子さん、2018年に松代の公演でお世話になった萬羽さんにもお会いし、ご挨拶をさせて頂くことが出来ました。
 中でも、私の公演にもいらして下さる増田さんには、出身地である高田のことを教えてもらったり、様々な芸能、民芸についてのお話を聞かせてもらったり、車で東京方面まで送ってもらったりと大変お世話になりました。
 
 とっても感謝です。
 ありがとうございました。

越後ごぜ唄「しげさ節」紹介

越後ごぜ唄「しげさ節」のご紹介です。

この「しげさ節」は高田瞽女であった杉本キクイ、シズ、難波コトミ氏の伝承によるものを参考に演奏しています。

瞽女の修行を始めたばかりの頃に教わる練習曲を「おぼえっこの唄」と言い、長岡瞽女のそれが「花の姿」だったのに対し、高田瞽女のおぼえっこの唄に当たるのがこの「しげさ節」でした。
ゆっくりしっとりとした節に乗せて唄われる歌詞がとても子供っぽくかわいらしいので、注目して聴いて頂ければと思います。

 ⇓⇓⇓

 https://youtu.be/CyT1KDTvw6I


【しげさ節】

ゆうべ夢見た なんと見た
しろい しろいのねずみは
こがねのだいもち ひくと見た

ちょうちょとんぼもきりぎりす
山で お山でさえずる
まつ虫 すず虫 くつわ虫

 しげさ節YouTube

とつかストリートライブ定期公演

戸塚区民でもなければ横浜市民ですらありませんが、この度、「とつか音楽の街づくり事業」の一環として行われている「とつかストリートライブ」に「瞽女唄屋 妙音」名義でアーティスト登録をさせて頂きました。

そして、来る2023年5月20日(土)、毎月第3土曜日に戸塚駅前広場デッキにて開催されております定期公演に出演させて頂くことが決まりました。
20分間という短い時間にはなりますが、オリジナル曲を中心に演奏したいと思っています。
お近くにお住まいの方がいらっしゃいましたら、お立ちより頂ければ幸いです。

とつかストリートライブ定期公演
日時:2023年5月20日(土)11:00~18:00 (出演は14:00頃の予定)
場所:戸塚駅西口歩道橋(トツカーナ東急プラザデッキ)


とつかストリートライブ公式HP

⇓⇓⇓

https://totsuka-st-live.jp/

 とつかストリートライブ
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プロフィール

小関敦子

Author:小関敦子
2011年より、最後の瞽女・小林ハル氏の最後の弟子、萱森直子氏に師事。同氏主催、「越後ごぜ唄グループ・さずきもん」所属。
昔、瞽女(ごぜ)と呼ばれた主に盲目の女性旅芸人が人々の娯楽の為に唄い、生業とした唄。それがごぜ唄です。
段物、口説き、民謡や当時のはやり唄、替え歌やオリジナル曲など、三味線とごぜ唄独特の荒々しく力強い唄いまわしで弾き語ります。

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