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「瞽女唄指導」という初体験

 以前にも少し告知をさせて頂きましたが、昨年、プロモーション映像に出演した、最後の瞽女、小林ハルさんの生き様を描いた映画、『瞽女』の本編に、この度は「瞽女唄指導」という役割で参加をさせて頂きました。

       映画『瞽女』公式サイトはこちら

 といっても、人に瞽女唄を教えるのは初めてのことで、しかも、萱森先生の補佐的な立ち位置なので、台本に名前を載せて頂くのも何だか恐縮なのですが・・・

 映画「瞽女」台本

 映画「瞽女」台本・中


 それでも、プロモーション映像の撮影の時に、私の唄を聴いて下さった監督が、直々に指名して下さったとのことで、有難く引き受けさせて頂きました。

       プロモーション映像はこちら

 具体的には、春のロケが始まる前のおよそ1か月の間に、数回に亘って、吉本実憂さん、小林綾子さん、冨樫真さん、川北のんさんといった、瞽女を演じる女優さんたちの、東京での唄のお稽古を見るのが私の主たる仕事でした。
 東京でのお稽古なので、萱森先生に何度も来ていただくこともできない、というわけで、私にお呼びがかかったのです。

 今回の映画では演奏のシーンが多く、覚えてもらう演目も多数あったので、1か月でどこまでできるものかと心配をしていましたが、既に最初のレッスンを萱森先生の元で受けられていた皆さんは、瞽女唄の特徴をよく理解して練習をしていてくださり、唄に関しては少しの修正でほとんど仕上げることができました。
 ただ、三味線に関しては技術が必要なもので、鳴らすこと自体が難しく、本番までにどこまできるのか、少し不安を残した状態でお稽古を終了しました。

 どうしたらより魅力的に聞こえるのか、三味線をよく鳴らすには撥の角度をどうしたら良いのかなど、今までとは違った視点で瞽女唄と向き合うことができた時間は、とても新鮮で、私にとっても勉強になりました。


 そして、およそ1か月後。

 春のロケも終盤に差し掛かった撮影現場に、スケジュールの都合で来られない萱森先生に代わって同行させて頂きました。

 1日目は、演奏会で盛り上がる中、親方の危篤の知らせが届くという、吉本実憂さんの演奏シーン。
 2日目は、春ののどかな旅の中、小林綾子さんの演奏でみんなが唄って踊るというシーンの撮影でした。

 2019.04.27民家
 1日目の撮影は、趣のある民家をお借りして、行われました。

 2019.04.28福島潟
 2日目の現場は、菜の花が満開の福島潟でした。


 最後のお稽古から1か月程度の間に、女優さんお二人ともしっかり三味線を鳴らせるようになっていて、その上達ぶりは感動的なもので、瞽女唄指導といっても一体何をしたら良いのか分からず、私は現場でずっと、ウロウロオロオロして過ごしていました。
 
 特に、2日目のシーンで三味線演奏をカットするという話が出た時には、「このために練習したんだからやりたいです。」と、小林さん自ら強く望まれて、その通りに本当に見事な演奏をなさって下さいました。
 優しい雰囲気とは違った芯の強さは、プロとしての意識の高さを目の当たりにさせてもらい、大いに刺激を受けました。
 
 小林さん以外の女優さんのことは、それまで存じ上げなかった方々だったのですが、皆さんすでに多方面で活躍されていて、撮影ではお会いできなかった冨樫さんなどは、「地響きのするような唄を目指します!」と、お稽古から高い志を持って臨まれるなど、やはり、それぞれプロとしての気概を感じました。

 そして、女優の皆さんが揃って、
 「これを機に、三味線を続けたい。」
 と、言ってくれたことが、何より嬉しく思いました。

 
 私が同行した2日間は、比較的撮影時間が短く、純粋に楽しませて頂きましたが、撮影序盤には、朝の5時から22時までかかるような日が続く、過酷な現場だったそうです。

 撮影隊の皆様、俳優の皆様、本当にお疲れ様でした。
 一番大変な時にお手伝いできなくて、ウロウロオロオロしていて、申し訳ない気持ちです。

 
 

 ところで、どうしても俳優さんに注目がいってしまいがちな業界ですが、このハードなスケジュール、俳優さんよりもスタッフさんの苦労は計り知れないものだったのではないかと、劇団時代のスタッフワークの経験から、ついつい考えてしまいます。


 ここからは余談になりますが、私は劇団員時代に、役者の傍ら照明部に所属し、多くの時間をスタッフワークに追われていました。
 
 劇団というのはそういうものなので、スタッフワーク自体は嫌だったわけではなく、寧ろ、「裏方こそが作品を支えている。」と、誇りをもって取り組んでいました。

 しかし、その中途半端な誇りがかえって仇となりました。

 ある作品の本番直前の稽古で、突然照明プランを変更され、次々と繰り出される通訳を介してのロシア語の指示についていけなかった私は、照明のオペレーションを演出家の思い通りに行うことができませんでした。
 そのため、私はロシア人演出家から
 「作品ができないのはお前のせいだ。」
 と罵倒されました。

 しかも、私はその作品で、5人1役とはいえ主役を演じねばならず、その重圧も相まって、その瞬間、それまで頑張ってきた全ての糸が切れ、見た目より気の強い私は、“どうせ日本語分かるまい”と、日本語で罵倒し返し、こともあろうに演出家に盾突きました。

 そして、半年後に劇団を辞めました。

 といっても、喧嘩別れをしたわけではなく、劇団とは円満退団だったので、今ではその演出家とは普通に挨拶を交わすし、劇団の企画で瞽女唄の単独公演もさせていただき、瞽女唄と出会えた今が幸せなので、後悔をしているわけではありませんが、裏方時代に黒い服ばかりを着ていた反動で、退団後は必要以上に明るい色の服を好むようになったことから、当時のことがそれなりにトラウマになっているのかもしれません。


 俳優の仕事が他の仕事と比べて特別で、誰にでもできる仕事でないことは重々承知していますが、スタッフさんがすべての環境を整えてくれ、俳優は演技に集中することが出来る映画の現場が、私が経験してきた世界とはまるで別の世界で、下っ端根性が染みついた自分には、正直羨ましいと思ってしまいました。

 それと同時に、スタッフの仕事も誰にでもできるものではありません。
 怒られることはあっても褒められることのほとんどない、理不尽なことの多い仕事ではないかと思います。
 私のような中途半端な誇りだけではとても務まらず、そこにはプロとしての高い理想が必要なのではないかと思います。

 だから、スタッフの皆さんに心からの敬意を感じます。

 
 そして、尊敬する小林ハルさんの映画に、瞽女唄の専門家として関わることが出来たことを、有難く、名誉なことだと感じています。

 きっと、いい作品になると思います。

 地道に続けていれば、滅多にない経験ができることもあるものなんですね。

 ただただ瞽女唄を続けていきたいと、強く願っています。


ごぜうたCD ネット販売始めました。

 先日、盛況の中終了しました、初のソロライブ「瞽女さんの足跡」開催を記念して製造しました1stアルバム、「ごぜうた①」、「ごぜうた②」のCDが、ネットでご購入頂けるようになりました。

 といっても、私が個人的に細々と運営いたしますので、お支払方法は銀行振込のみ、発送についても個人の生活の都合でお時間をいただく場合があることをご了承ください。

 ごぜ唄独特の響きと、素朴で懐かしい気分を味わって頂ける作品です。

 ごぜうたCD ショップURL
  http://echigogozeuta.cart.fc2.com/

 以下、CD情報です。

 ごぜうた①ジャケット
 
 ごぜうた①
 -収録曲-
 1.巡礼おつる1段(新津組の節回し)
 2.巡礼おつる2段(新津組の節回し)
 3.瞽女松坂
 4.正月祝い口説き
 5.鴨緑江節
 6.伊勢音頭くずし

 ごぜうた②ジャケット

 ごぜうた②
 -収録曲-
 1.巡礼おつる3段(地蔵堂の節回し)
 2.巡礼おつる4段(地蔵堂の節回し)
 3.はなし松坂
 4.あきらめ節
 5.すたれ節(オリジナル)
 6.夢和讃

 唄・三味線:小関敦子

 1枚:1600円
 ①②セット:3000円  送料無料

 ご注文はこちらから。

2月、3月、活動レポート

 2月末から3月初めにかけて公演が続き、充実した日々を送らせて頂きました。
 萱森先生をはじめ、公演を支えて下さった皆様、ご来場くださいました皆様に、厚く御礼申し上げます。


  2月21日(木):西東京市選挙管理委員会「明るい選挙啓発講演」

 萱森先生のお供をさせていただき、田無という街へ行って参りました。
 皆さんとても熱心に聴いて下さり、涙あり、笑いありの温かい講演となりました。
 YouTubeの情報などから、東京にも瞽女さんがいたことは知っていましたが、「近くに瞽女宿だった民家がある。」ことを教えて頂きました。
 いつか訪れてみたいです。


  2月22日(金)、23日(土):ブローダーハウス「ごぜ唄が聞こえる・最終回」

 12年続いた萱森先生のブローダーハウス公演の最終回に、先生の弟子集団「さずきもん」のメンバーとして出演させて頂きました。
 最終回というだけあって、多くの方に足をお運び頂き、3回公演全て満席という盛況ぶりで、滅多に顔を合わせることのない「さずきもん」メンバーが一堂に会したまたとない公演に、観客の皆様にも喜んでいただけたと思います。
 メンバーそれぞれが個性的で魅力があって、今後のごぜ唄の可能性を感じることが出来ました。
 その一方で、私が萱森先生と出会ったのがこのブローダーハウスだっただけに、これが最後と思うと寂しくて仕方ありません。

 2019.02.23さずきもんメンバーと、
   「さずきもん」メンバーと

 
  3月2日(土)、3日(日):東京ノーヴイ・レパートリーシアター「瞽女さんの足跡」

 ブローダーハウスが最終回だったのに対し、こちらでは初の単独公演を行わせて頂きました。
 一人で90分の公演を行うことが初めてで、不安も多かったのですが、気心の知れたスタッフや、多くの友人たちに支えられて、とても温かい雰囲気のなかで演奏することが出来ました。
 「90分があっという間だった。」と言って頂いたり、
 「小林ハルさん(最後の瞽女で萱森先生の師匠)と同じ、三条市の出身です。」とお声を掛けて下さった方、
 「子供の頃、杉本キクイさん(高田瞽女、最後の親方)を家に泊めたことがあり、懐かしくて子供の頃に戻ったようだった。」と嬉しそうにお話して下さった方もありました。
 多くのお客さんが喜んでくれているのが伝わり、スタッフさんにも「やって良かったと思える公演だった。」と言って頂きました。

 支えて下さった皆様、本当にありがとうございました。
 2回目、3回目と公演が続けられるように、今後とも精進してまいりますので、宜しくお願い申し上げます。

 20019.03.02演奏風景

 2019.03.02ノーヴイのみなさんと、
  東京ノーヴイのみなさんと
  
 ※初の単独公演を記念して製作、販売を行いました1stアルバム「ごぜうた①」、「ごぜうた②」のCDは、引き続きネットにて販売できるよう、只今準備中です。
 準備が出来次第、お知らせさせて頂きます。

 

  ・今後の活動

 3月後半には、小林ハルさんの人生を描いた映画、『瞽女』の瞽女唄指導者として、役者さんたちの東京でのお稽古を手伝わせて頂きます。
 初挑戦の指導ですので、力不足な点も多々あるかと思いますが、作品づくりに良い影響となるように努めたいと思います。

1st アルバム

 師匠である萱森先生からの
 「ごぜ唄というジャンル確立の為に価値がある。」
 というお言葉に後押しされ、3月2日(土)、3日(日)の単独公演に向けてCDの製作を行いました。

 自分で録音をして、ジャケット用のイラストを描き、パソコンの力を借りて作った完全手作り商品ですので、品質はそれなり・・・かも知れませんが、今出来る精一杯を詰め込みました。

 公演当日、会場にて販売を致します。
 予約も承りますので、ご興味のある方はお問い合わせ頂けたら幸いです。

 以下、CD情報記載します。

ごぜうた①ジャケット

 ごぜうた①
 -収録曲-
 巡礼おつる1段(新津組の節回し)
 巡礼おつる2段(新津組の節回し)
 瞽女松坂
 正月祝い口説き
 鴨緑江節
 伊勢音頭くずし

ごぜうた②ジャケット

 ごぜうた②
 -収録曲-
 巡礼おつる3段(地蔵堂の節回し)
 巡礼おつる4段(地蔵堂の節回し)
 はなし松坂
 あきらめ節
 すたれ節(オリジナル曲)
 夢和讃

 1枚:1500円
 2枚セット購入:2800円


 ※CDに関するお問い合わせは echigogozeuta@gmail.com
   または、当ブログのお問い合わせフォームをご利用ください。


 〈公演情報〉

 「瞽女さんの足跡」

 日時:2019年3月2日(土)、3日(日)
     開場 13:30  開演 14:00  上演時間 約90分

 料金:2500円(全席自由席)

 場所:東京ノーヴイ・レパートリーシアター
     京王井の頭線・小田急線「下北沢」駅 南西口または北口より徒歩3分

 ネット予約→http://kirinekohonpo.cart.fc2.com/

瞽女さんの足跡・チラシ1

瞽女さんの足跡・チラシ2

「ごぜ唄が聞こえる」最終回

 毎年恒例となっていました、私の師匠「萱森直子先生」の東京公演が、今年最終回を迎えることとなりました。
 
 最終回にあたり、先生の弟子からなる「さずきもん」のメンバーが一堂に会し、公演を盛り上げます!
 わたくし、小関も唄わせて頂きます。

 貴重な機会となりますので、ぜひお越し頂ければ幸いです。


「ごぜ唄が聞こえる」最終回

日時:2019年2月22日(金) 14:00~/19:00~
         23日(土) 14:00~
場所:ブローダーハウス
    世田谷区松原5-27-10 (京王井の頭線「東松原」駅より徒歩1分)
料金:3000円
予約・お問い合わせ: http://broaderhouse.info/gozeuta.html
          080-5055-3251

「ごぜ唄が聞こえる」最終回チラシ1

「ごぜ唄が聞こえる」最終回チラシ2


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プロフィール

小関敦子

Author:小関敦子
2011年より、「越後ごぜ唄」演奏者、萱森直子氏に師事。同氏主催、「越後ごぜ唄グループ・さずきもん」所属。
昔、瞽女(ごぜ)と呼ばれた主に盲目の女性旅芸人が人々の娯楽の為に唄い、生業とした唄。それがごぜ唄です。
段物、口説き、民謡やはやり唄など、三味線とごぜ唄独特の荒々しく力強い唄いまわしで弾き語ります。

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